加工の基礎知識 Basic knowledge
設計者が知っておくべき、設計に起因する加工現場での課題
設計者に加工の知識がなければ、設計者から加工担当者への情報伝達が上手くいきません。
無理な加工指示や必要以上の精度要求はコストアップの大きな要因となります。
以下に、代表的な設計者と加工現場の間で起きている問題を示します。
例えばこんなことが起きています…
① 必要以上の精度要求により、加工工数が増えてしまう
② 必要以上に部品点数が多く、部品が統一化されていない
③ 特殊な冶具を必要とする加工指示がある
④ 必要以上に高硬度の素材の加工指示がある
⑤ 設計者が加工担当に渡す図面上に、寸法記入がされていない
設計者が加工の知識を知らないと上記のような問題が発生し、
コストアップになります。
したがって設計段階からのコストダウンが最も重要なのです。
設計者が知っておくべきVA/VEの考え方
通常、新しい製品を作るためのコストは、あらかじめその製品設計の企画段階で決められています。従って製品はそのコストの中で設計されなければなりません。そのためには設計者は加工についての知識を持ち、最も適した設計をする必要があります。
例えばある機能を実現する設計案は普通何通りか考えられますが、その中の1つの案では部品の寸法を±1μmに抑えなければならない、設計案Aがあったとします。現状ではこれを実現する加工が難しく、全体のコストに収まりません。
その逆に、部品の寸法を±30μmまでに抑えた設計案Cは、下記の図のように加工コストを抑えられているものの、必要な機能を満たさないため採用することができません。
そのため設計者はコストと機能性の両方の条件を満たす、設計案Bを考える必要がありますが、加工のことを設計者が知っていれば、精度要求と加工コストのバランスを量り、このケースで言えば、最適な設計案Bを選ぶことができます。
このような設計段階からのコストダウンを追及する取組みをVA/VEと呼びますが、これには加工の知識が必要不可欠なのです。
機械設計における加工方法の選択のイメージ
設計案 | A | B | C |
---|---|---|---|
制度要求(例) | ±1μm | ±5μm | ±30μm |
得られる機能 | 高 | 中 | 低 |
加工コスト | 高 | 中 | 低 |